&ACTIONつよい未来をみんなでつくるアクション

進化する様々な脱炭素型コンクリートで、
2050年カーボンニュートラル社会を推進
次世代がリードするChalleng&Change
コンクリートはインフラや建物をつくり、私たちの暮らしになくてはならない存在ですが、製造過程において環境負荷の高い産業の一つでもあります。世界中が目ざすカーボンニュートラル実現において、コンクリート・セメント産業の技術変革や取り組みが大きく影響を与えると考えられています。そんな中、近年進化する脱炭素型コンクリートの登場にいち早く注目し、さまざまな試行を重ね実施する大嶽安城の取り組みと技術トレンドについて聞いてみました。
ひび割れが勝手に治る「自己治癒コンクリートBasilisk HA 」を始動
otake
「コンクリートは高い耐久性を持ち、インフラ設備や建築物には欠かせない土木建築用材ですが、通常~65年位のサイクルで経年劣化のメンテナンスが必要になります。大地震や水害が多発する近年では、このライフサイクルは短くなり、調査・補修、または解体・再建、新設となれば予算はもちろん、その過程で多くのCO2が発生し、さらには深刻な人材不足という社会課題に直面しています。そんな課題に立ち向かい、脱炭素化を加速させる革新的なコンクリートとして登場したのが『自己治癒コンクリートBasilisk HA (バジリスクHA)』です」

バクテリアが活動しだし、ひび割れが埋まりだす
Basilisk HA (バジリスクHA)の特ちょうとメカニズムを教えてもらえますか。
Otake
「ざっくり説明すると…例えば、人がゲガをした時、出血した後にかさぶたが出来て、自然治癒するように、バクテリアという生物の代謝でコンクリート表層の傷が絶えず治療される状態をつくり出せば、コンクリートは実質的に永久構造物にすることができるというのが、Basilisk HA のメカニズムです。生コンクリートを製造する時に、Basilisk HAを配合させると、コンクリート構造物にひび割れが生じた際にBasilisk HAに含まれたバクテリアが餌を食べ始め、増殖する時の化学反応で自動的にひび割れが埋まっていきます」
「さらに、ひび割れが埋まってしまうと、このバクテリアは休眠状態に入り200年も生存するため、コンクリートは人手を介さないメンテナンスフリーで100年を超える超長寿命になると言われています。つまり、生コンクリートの製造時や補修、解体時に発生するCO2の排出量を大幅に削減するためコンクリート産業や建設業全体の脱炭素化に大きく貢献することができるという理由です」

「つい最近ですと、Basilisk HAは2024年8月30日に国土交通省の新技術情報提供システムNETISの最高ランクである「VE」評価の技術として認定・登録されました。公共工事においてNETIS認定技術を活用した施工者は工事成績評定や総合評価落札方式での加点対象となります。水関係の構造物や地下建築物、トンネルなど維持管理が難しい構造物のひび割れ修復に特に本領を発揮するBasilisk HAの普及は、さらに加速が予想されています」

CO2削減だけでなくCO2のリサイクルにも注目
Otake
「相変わらず異常気象や甚大な災害が続きますが、カーボンニュートラルの実現は、もっとあらゆる角度から包括的に行う必要があると考えています。Basilisk HAではCO2の削減を図りますが、現状のさまざまなプロセスの中でCO2のリサイクルの仕組み化が図れないだろうかと、大嶽安城では若手が中心となり新しい技術導入やトライアルを積極的に進めています」
現在注目しているのが「カーボンキュア」のリサイクル技術だという。産業から排出されるCO2を回収、精製、液化し生コンクリート製造過程で注入。コンクリートの強度を図り、セメントの使用量を減らすことができるので天然資源の保護にもつながる。ビル・ゲイツ氏が投資し、三菱商事が資本提携するカーボンキュア・テクノロジー社によるテクノロジーです。
大嶽安城の次世代でリードする、次世代コンクリートの取り組みでサステナブルな未来に期待したい。